2012年04月22日

お日様不在の雪氷学

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雪と氷の専門家に会うために、電車に乗って、石の結晶ロードをかちりかちりと踏みしめて土曜日。
手に入れたばかりの「雪氷辞典」にその人は、名前を連ねているのだった。

オーロラの仕組みや、極地でのサークル活動、新聞部、栽培部、ごはん部、けんか仲裁部、
南極大陸をジグザグに飛ぶ自動操縦飛行機があそこに、などと、指先をあっちへこっちへとレクチャー。
そして、あなたを連れてきたのはどんな不思議なのでしょうと、ぐるりと展示室を見て、
あれか、と一枚の地図を発見した様子。あれです。と心に思いながら、その人についていく。

それは地球の神秘をあらわす謎の地図。ちょっと私が最近夢中な、あの地図。
実はね、この湖の名前をつけたのは、わたしなのさ。
ふふふ。とは言わなかったけれど、その人は。ふふふ、という感じなのだろうと私は察知しました。
氷の下に埋まっている太古の湖の中には、
何億年も昔の色が、空気が、温度が、音が、溶けて溶けて溶けているのだ。
もやもやと溶けて。
こんこんと溶けて。
ああ好きですこの時間が、と思いながらその人を見ると、火星の隕石がよくとれる場所はここ、
などとまた指を動かして、ちっとも私の好奇心の行方には無頓着。彼は。それから?

これはサービスですよ、と言って秘密の立体模型で秘密の氷の話をしてくれました。
わたしがサービスという言葉の意味を考えているうちにお話はどんどんと進んで、
うちの研究所の内線の6番が地球の自転軸のほとりにつながっているのだ、などと、
ファンタジーっぽいことをおっしゃるのですが、それが現代科学の事実なのですから。すごいのだわ。
東京のへんぴな、裁判所とか、区役所とか、あとはバス停、くらいしかない殺風景な場所から、
地球のてっぺんにある、オーロラとかうじゃうじゃ出る、冷凍庫の最中、みたいな地点に
ハローハローハロー可能。なんですって。どっひゃ。



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posted by ゆみ at 22:48| 東京 雨| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月03日

惑星と春、結婚行進曲

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恩田ツアー2008「世界の雛形とタイムマシーン制作講座」
無事に全7ステージを終えることができました。

連日場内にあふれんばかりのお客様をお迎えすることができ、
本当に感謝の気持ちでいっぱいですごした数日間でした。

ご来場いただきました皆様、
そしてお力添えいただきました各方面の皆様、
本当に本当にありがとうございました。

ささくれだった惑星は桜の形に隆起して
ぽぽぽぽぽんと枝葉片鱗を大地に墜落させては
花見風情をくゆらせている4月なわけですが、
恩田もまたぽぽんぽぽんと形なきものどもに思いを宿し、
世界の見聞き伝言の僕として精進してゆきたいと
思っております。

今後とも皆様の視線ときどきその気配をば
拝借お願い申し上げることがあるかもしれません。
いえきっとあることでしょう。
その折は何卒よしなによしなに
お付き合いいただければ幸いです。

恩田ゆみ





posted by ゆみ at 00:26| 東京 晴れ | TrackBack(0) | 世界の雛形とタイムマシーン制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月28日

はじまりました!恩田ツアー2008

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恩田ツアー2008がはじまりました。
初日が終わって、残り6ステージ。
おかげさまで残席わずかとなっております。
ご予約はお早めに・・・。

また、終演後に恩田ゆみによるアフタートークを
予定しております。(日曜のお昼はおやすみ)
お時間ありましたら、本編と併せてお立会いくださいませ。

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posted by ゆみ at 08:22| 東京 霧 | TrackBack(0) | 世界の雛形とタイムマシーン制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月04日

公演のご案内★予約スタートしました!

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いよいよ3週間後に迫ってまいりました、恩田ツアー2008第三回公演ですが、
チケット予約・前売りスタートしましたのでお知らせいたします!
また、公演の日程が1日増えまして、
3月27日(木)〜3月30日(日)の4日間、全7ステージで
お届けすることになりましたので、
日程などの詳細も併せてご覧ください。

恩田ツアー2008「世界の雛形とタイムマシーン制作講座」
企画・脚本・演出/恩田ゆみ

◆日時
2008年3月
27日(木)19:30
28日(金)14:00/19:30
29日(土)14:00/19:00
30日(日)13:00/17:00
※受付開始は開演の45分前、開場は30分前となります。

◆場所 Pit北/区域
(JR京浜東北線王子駅北口から徒歩5分、
東京メトロ南北線王子駅5番出口から徒歩3分。
駅前のPRONTからすぐの黒いビルの地下です。)

◆チケット
前売2500円/当日2800円
※28日(金)14時の回は、平日昼割り引きで前売2000円!
(要予約です。
ご予約のない場合は当日料金となりますのでご注意ください。)

◆恩田ツアー公式HP
http://onda-tour.com/

☆☆ご予約方法☆☆

ご予約の際は、下記メールアドレスまで
「お名前・観劇希望日時・人数・ご連絡先」をご連絡ください。
折り返し劇団から確認のメールが届きましたら予約完了となります。

なお、今回各回ご用意できるお席が少なめになっておりますので、
お早めのご予約をおすすめいたします。
日時・人数のご変更につきましては、
お席がご用意できる限りお受けいたしますので、
お気軽にお問い合わせ下さい。

予約・問い合わせ先
onda-tour@live.jp

◆内容についての簡単なご紹介

演劇という手法を用いて
「世界の雛形(模型)」と「タイムマシーン」
を作るというのが主な試みです。
・・・・と申しますと、何やら抽象的で小難しい感じが
してしまいますので、テキストとして用いるお話を簡単に
ご紹介しておきます。

1、「マッチ売りの少女ごっこ」
マッチ売りの少女が、生みの親である童話作家アンデルセンに、「もうマッチを売るのはいだ!」と直訴する。泣ける話で読者の支持を得たいアンデルセンは、「不幸でいるのがお前の仕事」とばかり、少女を追い返そうとするが・・・。

2、「永遠のジョージ&リンダ」
作家・清水義範の短編「永遠のジャック&ベティ」を下敷きにした、ショートストーリー。
かつて幼なじみだったジョージとリンダは30年ぶりに再会するが、懐かしさのあまり、中学英語のようなカタコトの言葉でしか会話できなくなってしまう。

ジョージ「あなたは一杯のコーヒー、または一杯の紅茶を飲むことを欲しますか?」
リンダ「はい、欲します。」

3、「電車という病」
自分を電車だと信じて疑わない姉と暮らす弟のタダシ。
深夜に線路を走る姉の奇行と試験勉強に、日夜頭を悩ませる青春の日々。ああそしてそんなある晩、ささいな言い争いから家を飛び出してしまう電車病の姉。その後を追って暗闇をひた走るタダシに明かされる驚愕の真実とは・・・?!


立体化した物語につきましては、ぜひ劇場にて目撃くださいませ。
恩田ツアーオールスターズ一同、皆様とお会いできることを楽しみにしております。


恩田ゆみ




posted by ゆみ at 10:59| 東京 晴れ | TrackBack(0) | 世界の雛形とタイムマシーン制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月03日

恩田ツアー2008公式サイトはじめました。

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恩田ツアー2008「世界の雛形とタイムマシーン制作講座」の
公式ホームページが本日鏡開きとあいなりました。

アドレスは下記です。

恩田ツアー2008・公式サイト
http://onda-tour.com

公演情報、出演者の写真&「ことば」という言葉について語った言葉、
恩田ツアー過去公演の写真、などがご覧いただけます。

出演者はこちら10名。
いろいろな国のいろいろな地方からやってきた
いろいろな言葉を話す人々です。

伊都子
小櫃川桃郎太(小櫃川桃郎太一座)
辛嶋宏章
じゃっかる
竹田みずき
森田金魚(石神井童貞少年團)
山森信太郎
渡辺正和(ボーナス・ストレッチ)
佐々木さりえ
恩田ゆみ

尚、3月公演の日程・時間割・チケット予約方法など
本ブログとホームページにて2月下旬ごろにお知らせさせて
いただく予定ですので、よろしければ併せてご覧ください。

雪合戦仕様の本日、寒さシベリア極まりない冬景色が
続いておりますが、皆様お体お足元には何卒お気をつけくださいませ。

恩田ゆみ

posted by ゆみ at 18:03| 東京 雨 | TrackBack(0) | 世界の雛形とタイムマシーン制作講座 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月18日

復活予告

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恩田ツアー2008の公式サイトを準備中です。

コンテンツは
来年3月の公演「世界の雛形とタイムマシーン制作講座」
の詳細にはじまり、出演者紹介、過去作品の写真、その他諸々を
随時更新していく予定でおります。

お楽しみに・・・。



2007年11月25日

神龍よ、月光をクリームチーズにしておくれ!

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11月23日

青梅駅から、てくてく二足歩行にて30分。
秋の色彩が深く折り重なる、山がちな景色の中に
聞修院(もんしゅういん)という曹洞宗のお寺がある。

この日はここで、声楽のコンサートと小櫃川桃郎太さんによる
詩の朗読が行われるということで、
女優の伊都子ちゃんとピクニックがてら足を運んだ。

聞修院に着くなり、まず紅葉の美しさに言葉を失う。
白く乾いた墓石の並びに、紅く色づいた枝葉が
さしかけられた傘のごとく中空に佇んでいる様は見事である。

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開演は昼下がりの2時ということで、あたりはまだ明るく
日も差していたのだが、やはり青梅の寒さは都心よりずいぶんと手厳しい。
屋外に長居できず、早々にお寺の本堂へと避難する。
茅葺屋根の伽藍が思いの外大きく、どっしりと鎮座しており、格好いい。

本堂の中に入ると、畳敷きの場内にアップライトピアノが設置され、
ご本尊の正面が舞台という構図。

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年季の入った木の柱に、客席の隅のほうでは、
田舎の小学校にあるような石油ストーブがシュンシュン音を立て、
格子窓には緑と赤の山並みが絵のように嵌め込まれている。
それだけでもう舞台セットになりそうな、いい感じの空間だ。
開演時間が近づくと、かなりご年配の紳士淑女、
乳飲み子を抱きかかえたお母さん方も座布団に着席。
イベントというよりどこか地方の年中行事のような雰囲気。
懐かしいような切ないような味わい深い情景である。

そして、コンサートが始まった。
小櫃川さんによる、サトウハチローの詩集「おかあさん」の朗読が導入となり、
そこから声楽パートの歌い手さん四名が登場し、
ピアノの伴奏に合わせて伽藍の空気を歌声で震わせる。

曲が終わるたび、
小櫃川さんが堂内のいろいろな入り口から詩を読み上げつつ登場して
くるのが面白い。
声が色になり、そこにはない景色がやってきては鮮やかに浮かんで消える。
小櫃川さんの言葉がまるで絵の具のように、子供たちの駆け回る夕闇の庭や
いつか裸足で飛び込んだ夏の日の河原を、お堂の虚空に描き出していく。

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サトウハチローの詩の世界と歌の世界とが
ひとつの空間に居合わせながら、
交わりそうで交わらず漂っている感じがとても面白い。

お寺という、場所としては完成された空間に、まったく違う目的
(音楽の演奏であったり詩の朗読であったり)を持ち込むというのは
それだけで一つの冒険であると思うのだが、
場違いな印象をまったく感じさせずにそれが成立していたのは、
演出の中川順子さん(劇団河馬壱)の手腕によるところが大きいのだろう。

詩と歌の世界が交わらないというのも、もっともな話で
本当ならその二つはまったく別の風景なのである。
それをお寺という一つの額縁に同時に嵌め込み
あたかも一枚の絵のごとく見せてしまっているところが
マジックである。

また、上下黒の衣装で白い詩集を手に現れる小櫃川さんは
詩の世界を描く絵筆であると同時に、静謐なお堂の空気を非日常(歌の世界)へと
変幻させるための触媒でもある。
その発声や佇まい(演技とまではいかないが、日常生活とは一段階異なる身体の在り方)が
曲間に挿入されることで、異質なもの(本来お寺の属性ではないリズムや音色、歌い手の存在)に対する客席の抵抗感をグッと下げる役割を果たしていたように思う。


コンサートは、前半が「おかあさん」「秋」などにフィーチャーした選曲で、
後半が、戦後のヒット曲をというテーマで構成されていた。
途中、「リンゴの唄」を場内全体で合唱する場面もあり、
老若男女が一期一会のコラボレーション。
隣の席のおばあちゃまに「お嬢さん、お上手お上手」などと声をかけていただき、なごむ。
コンサートの終盤の曲「悲しくてやりきれない」では、コントラバスとギターも加わって
心の襞を温かく濡らすような演奏に、うっかり泣きそうになる。
名残惜しさを残しつつ、20曲あまりを聞き終えたところで終演。

その後、お寺の方が用意してくださった御馳走を、その場に居た全員でいただく。
日本酒なども注がれるままにぐいぐいやってしまう。
お料理も美味しかったのだが、とりわけ手作りのパンが
ほんのり甘くてクセになる味。
伊都子ちゃんが、「マイ・クリームチーズ持ってくりゃよかったわ!」と言いながら、
それでも輪切りのパンを何もつけずに何回もおかわりしていて可笑しかった。

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ひとしきり皆さんとお話したあと、
小櫃川さんと伊都子ちゃんと庭に出て、月を眺めたり池を覗き込んだり。
「とっぷり日も暮れましたなぁ」
小櫃川さんが日本昔ばなしみたいなコメントをする。

満月はぴかぴかと金貨のように輝いて、
山々を照らしている。その山たちのシルエットがもこもこしていて
黒いブロッコリーのようだ。
あたりには民家もなく真っ暗闇なので、ひとりだったらかなり怖そうだけれど、
その怖さの底には常に牧歌的な安心感が流れていて、
都市生活にひそむ病的な不安感とはまったく別物である。
どこか自然に対する畏怖の気持ちに近い。

聞修院は初めて訪れた場所だったが、
都心から離れていて、辿り着くまで時間がかかるところが
なんだかんだですごくよかった。
多摩湖線という立川から出ている支線に乗ったのだが、
窓の外に緑が増えていくにつれて、毒が抜けていくような感覚があった。

また、ロケーションだけでなく空間としても、このお寺は興味深い。
月を盗む泥棒の話などを、いつかここで上演してみたい。

また参りますとお月様に約束し、聞修院を後にした。




2007年10月30日

火男炎女のザ・ワークショップ2008

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10月28日(日)

決して飲み会から始まったわけではない。

台風一過のホリデーに、
開催しました恩田ツアーのワークショップ。

集結したのは次回恩田ツアー出演陣はじめ、
日本全国津々浦々から集結した芝居畑の猛者たち。

劇団主宰・元劇団主宰からはじまって
ボクサーや人妻
フランチェスコという洗礼名を持つ謎の男。
双子で芝居やっていますというダンサー兼役者。
「のこぎり山」という関取のような芸名を名乗るOL。
エトセトラエトセトラ。

パッと見は誰もが和やかで温かい雰囲気にも関わらず
自己紹介のコメントを聞いているうちに、
「なんだか変な人ばっかり集まったなぁ」
と我ながら不思議な取り合わせに関心してしまう。
自分がワークショップに参加することも主催することも
そんなに多くはないので、この印象がありふれたものかどうかは
よくわからないけれど、今回のメンバーそれぞれが興味深いことは確かだ。

また、参加者の経歴やコメントとして語られる情報の中身もさることながら、
表情・体の動きといった見た目をまじまじ観察してしまう。
これがかなり面白く、いろいろ盗み見ては笑いをこらえるのに、
かなりエネルギーを使ってしまった。
笑いをこらえながら、それが時々抑えられない自分は
ちょっと変態っぽく見えたかもしれない。

なんとなく人間ぽくない人。
ほんのちょっと地面から浮いてそうな人。
戦国時代の武将に「殿、お逃げください。」と言いそうな人。
伝統芸能の家元っぽい人。
どんなに間違いを犯しても、「おっとりしてる」の一言で許されそうな人。
肝心なときにプレッシャーに押し潰されて、とんでもないことを
やり出しそうな人。
そのうえ意味の分からない言い訳をしそうな人。
巻き込まれたみんなはもう大パニック!

ワークショップの進行をしながらも、すでに恩田の頭の中では
上記のような設定で寸劇が始まっている。

これだけこちらの想像をかき立てるというのは、
もうこのメンバーが魅力的だからということに尽きるのだが、
なんのなんの脳内劇場はまだ序の口。
以下のような設定で即興芝居を演じてもらい、
さらに腹を抱えて笑う。
お見せできないのが残念だ!

1『マチコは大丈夫か』
不治の病の妹マチコ(小森智也)を献身的に看病する姉(山森信太郎)。貧しい姉妹を男の役者二名で熱演。往診の町医者(小櫃川桃郎太)はけなげに生きる姉に惚れているため、残酷な真実を告げることができず苦悶する。そんな医者に思いを寄せる看護婦(森田金魚)は、煮え切らない医者の片思いを断ち切ろうと妹に突然まさかのガン告知。
薄幸な姉妹の運命やいかに?!姉を演じるヒゲの大男・山森さんと、その手を握り締め恋する男を演じている小櫃川さんのツーショットが可笑しい。

2『右も左も分からない』
高名な心臓外科医(ジャッカル)は、手術になると右と左が分からなくなってしまうというちょっとあぶないお医者さん。彼にオペを止めさせようと奮闘するナース(小口麻美)と助手(辛嶋宏章)。デンジャラス・ドクターの悪意なき暴走を止められるのか?!天然のジャッカルさんにエッジの効いた合いの手が絶妙な辛嶋くん。テンパリ娘を演らせたらこのひとの小口ちゃんが「ほのぼの大変」なシチュエーションを好演。

3『人間じゃないかもしれない』
自分はなんとなく人間じゃないかもしれないと悩む高校生カラシー(辛嶋宏章)が、幼なじみの二人(佐々木さりえ、小森智也)に相談をもちかける。「どうやら俺、人間じゃないっぽい。」話が進むうちに、カラシ−は「自分はワカメだと思うんだ」と言い出し始める。
見た目と内面とのギャップに悩むカラシーに二人はどんなアドバイスが出来るのか・・・?!冷静でいようと努める佐々木に対して、どんな球にもまったく動じない様子の小森さん。ご本人の懐の大きさが垣間見える一幕。

4.『心配性』
自分が心配性じゃないかと心配してやまない男(渡辺正和)を、なぐさめる飲み友達(竹田みずき)と傍観する男(小櫃川桃郎太)。心配性だったらどうしたらいいんだと心配しているその時点で心配症?という終りなき無限ループから彼は抜け出せるのか?!という話。
一昔前の月9みたいな雰囲気が出ていたのは、渡辺君の若い芝居と竹田くんのけだるいテンションのなせる業とみた。

5.『金儲けがしたい』
童話作家アンデルセン(山森・小櫃川)と三人のマッチ売りの少女(佐々木、森田、小口)が登場。マッチの売れないマッチ売りの少女(森田、小口)はもうマッチは売りたくないとアンデルセンに転職願いをする。ところが、売れないマッチを売るから読者は感動できるんだと取り合ってもらえない。しまいにはナンバー1マッチ売り少女(佐々木)が、自分の下積み時代は寒空の下、全裸でマッチを売ったこともあったと言い出し始める・・・。
途中から、小櫃川さんと山森さんがコテコテの関西弁になることで、世界観がギュイーンと変わって、舞台は大阪・道頓堀の有限会社アンデルセンに。小櫃川さんの場の色を塗り替える力は素晴らしい。小口ちゃんの瀕死の演技と森田さんの学級院長的な真面目な発言とが、腹黒い童話作家との力関係を際立たせており、エチュードにも関わらず非常に見やすい構図を作っていた。

6.『高橋先生の脳内会議』
高橋先生の頭の中という設定。
三人の役者が三人とも高橋先生(竹田みずき、小森智也、ジャッカル)という役で会議をするという話。
議題は「クラスメートの持ち物を盗んだ生徒を職員会議にかけるか、否か。」この生徒は既に大学への進学も決まっており、ここで高橋がどう出るかで生徒の人生を左右してしまうという重たい局面。公の場で罰するのが難しいなら闇討ちして頭を丸刈りにしてはどうか、などと過激な意見が飛び交う。見た目がおとなしい竹田の口から「昔はよくガラス窓をぶち破って」いたなどという発言が出て、場内にどよめきが。ジャッカルさんの力技でない引率力で、気がつけば不思議な世界に引っ張りこまれてしまう。

エチュードというのは、お題についての理解度や発想の着眼点などが如実にその役者の芝居に表れてくるので面白い。
設定や台本のように「縛り」があったほうが演じやすいという役者もいれば、まったくのゼロ地点から自由に作り出すのが得意な者もいる。ほとんど素のキャラクターでその場にいられるトクな人も、お題ごとにきっちりキャラクターを演じ分け、芝居を見せてくる仕事人も。
今回はいろんなタイプの役者さんが揃っていて、バラエティに富んでるなぁという印象。

恩田ツアーの今回のワークショップで即興劇を演じてもらった目的は、
キャスティングのために役者同士の相性を見たいというのがひとつ。
そして、予備知識がない人が見たときにその役者はどういう第一印象を与える役者なのかを知りたかったというのがもうひとつだ。

というのも、ある役者の性格なりお決まりの役を変に知っていると、それに近いキャラクターを無意識に意図せずあて書きしてしまったりする気がして、それはちょっともったいないというか、慎重でいないといかんなぁと思うのだ。
だから、その役者が初対面の人に与える印象を改めて知ることで、その裏をかいたキャラ設定を意識できるし、こちらが思いもしなかった一面を見せてくれると、役としてもっと膨らませたくなる。
この作業自体が楽しいし、キャスティングの醍醐味だと私は思っている。
まあ、最終的に出来る台本はそこまで考えて書いてないような気も
するけれど・・・。そこはまあまあそんなものです。

ワークショップの最後には、『電車という病』という
私が書いて森田さんに演出していただいた二人芝居の台本を使い、
「芝居のセリフを音にする」という作業に取り組む。
これは円になった全員で台本のセリフをひとまとまりごとに読み上げていくのだが、
この時音楽のリズムに乗って、意味よりもテンポ重視でどんどんセリフを回していく。
使った音楽は「渋さ知らズ」の『火男(ひょっとこ)』だ。

台本は歌詞カードのような感覚で持ってもらい、曲のリズムに合わせて体は弾んだり踊ったり全身で音に乗ってもらう。
セリフを読む人間を円陣の人々が囃し立てる雰囲気を
「ブラジル柔術・カポエイラのような感覚で」と説明すると、
なんとその場でカポエイラ経験者2名(小櫃川さんとジャッカルさん)が名乗りをあげて、
その様子を実演してくれる。素敵すぎる。

音楽の途中で円陣からはずれたり、言葉に極端な節をつけたり
恩田がまず無茶苦茶にやってみる。
すると、それをきっかけに何人かが解放されたように
ウキウキと踊り始める。発する言葉も色とりどりに輝き始める。
人間が、ダンスする楽器みたいに見えてくる。
言葉が歌でもセリフでもない自由な音になっていく感じ。
この感覚を芝居にうまく取り入れていったら絶対面白い。

今回の「セリフを音にする」コーナーは初の試みではあったが、
稽古の段階ではもっともっとトランス状態みたいな空気を目指してもいいかもしれない。さらに突き抜けたテンションでこういった作業を試していくうちに、新しいスタイルが見えてきそうな気がする。
音と運動が生む「うねり」のようなものを予感しつつ、ワークショップ終了。あっという間だ。

ワークショップ後は、二次会まで宴が続いた。
稽古のためやむなく帰途についた小櫃川さんも、
いい余韻を残してくださり、座はいつまでも温かく。
何よりも忙しい合間を縫って参加してくださったことがありがたい。
「恩田さんはやっぱり頭狂ってますね〜」などと
多分褒め言葉であろう感想を人間じゃないかもしれない辛嶋くんから聞きながら、
したたかに酔っ払って最終列車に乗った。

P.S.
参加者の皆様、お疲れ様でした。また一緒に筋肉を鍛えましょう。


2007年10月05日

広告いたします。

秋刀魚は焼かれて月吠える。
寒暖まだらに流れゆく
ここは衣替えの国。

体温の維持に日々汲々としている恩田ゆみです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
日々本ブログをお引き立ていただき
まことにありがとうございます。

さて、秋のお知らせでございます。

恩田ツアーは来年2008年3月28日(金)〜30日(日)に
第三回公演を予定しておりますが、それに先駆けて
今月末に役者向けワークショップを開催することになりました。
舞台経験者で、恩田ツアーに興味があるという方、
出演したいという意欲的な方、「恩田ツアー?」という方、皆々様。
お時間ございましたら奮ってご参加ください。

日付:10月28日(日)
時刻:13:00〜17:00 
会場:国立オリンピックセンター(代々木)
※参加費用無料

なお、参加を希望される方は事前に下記アドレスまで
お名前とご連絡先をメールにてお伝えください。
追って詳細をご連絡させていただきます。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

夜長も過ぎれば不眠症。
皆様どうぞお体ご自愛くださいませ。

かしこ。

2007年08月02日

水瓶王子と金の蟹

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蝶々結びがままならぬ

王の悩みが井戸を彫る

水瓶王子は水汲みたさに

家出が止まらず早8年

どうしてお城は山の中

どうして后は水嫌い

まだあげ初めし前髪の

海原に散る口惜しさ

悪夢に溺れるお后は

夜更けて石の獅子になる

喉の渇いた王様は

世更けて金の蟹になり

蟹の王様 井戸を彫る
 
水の塊 鋏で砕き

地上と天空結ぶ井戸

ぐつぐつ煮れば消える井戸

女神の衣に彫り上げる

月に届けと彫り上げる

けれど空へと昇る井戸

夜明けに寒さで凍りつき

沈める月に潰された

井戸の破片が国に降り

誰も彼もが怪我をした


王子はそのまま城を出て

今も行方は知れずじまい

山の中には古びた城に

金の蟹だけ残された





posted by ゆみ at 15:21| 東京 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉で輪切りにした世界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする