2014年06月02日

こんな夢の島に暮らそうか

夢の島.jpg

1年ほどかけて、少しじっくりとドライブをした。
車はニッポンレンタカー。
私ははじまりから終わりまで、ずっと助手席に座っていた。

ときどき炭酸水を口にふくんでは、窓の外の世界を眼の中に移した。
景色はなかなか流れてゆかず、そうかと思うと一瞬で走り去った。
過去にも未来にも道はまたがって、現在地点はほかでもない、鉄とガラスと有機物の組み合わさった、小さな、走る私たちだった。

目的地よりも熱心に、走りつづけることの不思議を私たちは思った。
折り重なる道すじと、悠然とした水の流れを渡る見知らぬ橋の長さと、市街地の起伏と、樹木のつくる影の形と、それらを結び合わせている現在という結び目のあまりにも無造作さな在り方に、私たちは時々おごそかに言葉を閉じた。

ゆき過ぎて戻ったら、そこは夢の島、という名前の場所だった。
夢の島。
実体なきものの名を冠したその土地の役割は都市の吐き出し続ける夥しい質量のため息を始末することで、それらの残骸を埋め立てた上に立つ熱帯植物園の巨大さは、どこかその牧歌的な名を固辞するかのように私たちを圧倒し、浅はかな感傷を振り払った。
夢の島。
ここも、きっとこの現在地点も、ずっとそういう場所でありつづけるのだろう。

私がそのことをはじめて言葉に出してみたあとに、そうだねと声が応えて、私たちはその夢の島に暮らす私たちのことをしばし思った。
posted by 地図書きのゆみ at 16:31| 東京 ☀| Comment(0) | 観(あのときはこうおもっていたようだ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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